生きるとはアンビバレント(PART9)  ~欅坂46MVプレイバック、かく語りき~

まず、『アンビバレント』のMVはやっぱり見どころ満載だ。一部抜粋。

 

01:38~01:41のあたり、「及び腰ぃー」から「話を聞けば巻き込まれる」で、平手以外のメンバー全員がしゃがんで手を斜め上に伸ばしたまま静止、平手ソロダンス。シビれる。

 

04:26~、「この夏」の歌詞で現実にグイッと引き戻され、そのあたりから各メンバーが不敵な笑みを見せだし、次第にそれが伝染、平手が満面の笑み。ワクワク感がピーク。

 

04:41あたり、最後の最後、デデン!で全員同じ決めポーズ。最高。

 

チョーかっこいいんですけど。これ作った方々、やっぱり天才でしょ。

というか、個人的にこの楽曲で一番好きな歌詞は「太陽味方につけたような よくいるタイプの単細胞」、ここだ。

 

改めて思った。私が多人数のアイドルグループで表現される楽曲として観たかったのはこういうやつだ。

これは日本の音楽史でもっと評価されてもいい楽曲だと思う。どこまでいっても私見ですが。

 

『ガラスを割れ!』のMVはそれまでにも観たことがあった気がするが、改めてその時観るとかなり印象が違った。正直、歌詞は『サイレントマジョリティー』を初めて聴いたときのような、微妙な印象はあるが、楽曲自体はシンプルにカッコいい。

 

そして頻繁に差し込まれる、平手の振付けとも取れぬ激しい身体表現は、やはりそれまで日本で既存だった「アイドル」の枠には完全に収まらない。

他のメンバーにとって、あのようなかたちで常に頭の中にチラつく圧倒的で絶対的な存在は、小さな世界でのその時々の個人競争などは二の次になるのではないだろうか、なんて想像する。

 

振付けでは、特に01:21あたり、サビの「こぉーぶしでぇー」や03:24あたりの「おーもいこんでいーるだけぇー」で身体をガッと起こした時に右手で口を塞ぐ振付けが好きだ。それ以前に、衣装にMA-1のロングコートを採用するあたりはなかなか秀逸だ。

 

『風に吹かれても』はそれまでほとんど聴いたこと、観たことは無かったが、まず衣装が全員黒スーツ黒タイというのが良い。映画『レザボアドッグス』のようだ。

平手だけ眼鏡を掛けているのもなんだかよく分からないが良い。

歌詞はひとまず置いておいて、曲調はかなり実験的で、振付けの特徴的なステップが面白い。

03:39あたりからの、最後に平手が1人だけ風に吹かれているのか(?)宙に浮かび上がっていくのがよく分からないが。まぁいいや。

 

というか個人的に、この世にあるほとんどの宙に浮いていく演出、全て「クレーンで吊られてる感満載」なので、観ると基本的に少し冷める。いや、別にいいんだけれど。

 

『不協和音』もそれまでちゃんと観たことは無かったが、改めて観ると、まずシンセサイザー(?)による激しいリフに合わせてメンバーが激しく踊る楽曲で、こんなのよくやるな、という印象だ(非常に良い意味で)。

 

一般的には「僕は嫌だ」の叫ぶでもない強いひとことのフレーズが最も印象的だろうが、個人的には02:09あたりからの、平手が歌う「大きなその力で」の“その”のところの歌声がやはりグンと響く感じで好きだ。

 

そして03:53あたりから、よく見ないと見過ごすが、平手が手で顔を覆うようなかたちで見せる狂気的な笑みは、このMVで既に表現されている。これは演出指示があってのものだろうか?演出であってもなかなか凄いが、おそらくアドリブだろう。この時点で平手の「末恐ろしさ」は表れていたわけだ。

 

 

PART10へ続く。