生きるとはアンビバレント(PART5) ~NMB48に見ていたもの~
NMB48。おそらく日本の一般論として若く見目麗しい、関西弁話者の乙女たちが、「中央」に対するアンチテーゼという立場をラディカルに表現する、そんなイメージというか期待を込めて当初の私は彼女らを観ていたのかもしれない。私が関西出身であるということもあり、より親近感を持ったのだろう。
しかし、そんな彼女らも結局は「中央」のルールや慣例に「包摂」されていただけだった。48の他のグループと同様に選抜総選挙など各イベントの結果に一喜一憂するその姿を見ると、私は何となく寒々とした気持ちを感じていた。
例えば、選抜総選挙なんて単なる集金イベントだとか言ってボイコットしたりすれば最高だ、なんて考えたりもしていたが、まぁそこまでは有り得ないにしても、私は48の中での「独自性」を常に勝手に彼女らに期待していた、というか要するに私は「プロレス」を期待していたのだろう。
例えば、彼女らはデビュー当初にSKE48のライブ中に「殴り込み」を掛けるという一幕を演じたことがあった。そういうことの延長線上にあるものを期待していたのだ。
また、2016年末『NHK紅白歌合戦』内での一般投票による「AKB紅白選抜メンバー」を決めるということが行われた当時、私にはこの「多く得票数を得ることが出来れば、この名誉ある番組に出してあげるよ」的な上から目線で、「我々は権威なのだ」と言わんばかりのNHKサイドの態度には憤りがあったのだが(実際のこの企画発案者が誰かはもちろん分からないが。48サイドかもしれないし。)、彼女らもNHKを権威認定し、そこでも結果を出すことにこだわっていた。
私が若いころは「紅白ダサい」と言っているミュージシャンは結構いたと思うし、その方がカッコいいと思っている。今はそういうミュージシャンは見受けられないので、つまらない。
とはいえ、そうやってブツクサ言いながらも、投票権利をなんとか3回確保し、NMB48メンバーの山本彩、木下百花、須藤凜々花に1票ずつ投じたのだった。結果、第1位は山本彩だった。
ちなみにこの投票はNHKのデータ放送を使って行われ、テレビチューナー1つ当たり1回の投票が可能だったため、私はテレビ自体のチューナーとレコーダーのチューナーに加え、使わなくなったレコーダーをわざわざ引っ張り出してきて計3回分の投票が可能となった。
俺、結局楽しんでるやーん。3年半以上前の話やけど、改めてさや姉おめでとー。
それはさておき、そもそもそんな「「中央」に対するアンチテーゼとしてのNMB48」、みたいな私の期待が叶わなくとも別によいのだ。これは私が勝手に抱いた妄想、「物語」である。
私は彼女らがルールや慣例に取り込まれても別にそのことで嫌いになるわけではないし、基本的には「関西のおもろいねーちゃんたち(厳密には関西以外の出身者もいる)」なのである。やはり彼女らがわちゃわちゃやっているのを観るのが楽しかった。
しかし、やはりアーティストは「作品ありき」でないと、それらも私はつまらなくなってくるのだ。
シングルならば『ワロタピーポー』までは好意的に見ていたのだが…。
PART6へ続く。